研究課題
当実験系において、脳梗塞モデルマウスに、green fluorescent protein(GFP)を発現する遺伝子改変マウスから得られた新鮮幹細胞などを移植した後、レーザー光(488nm)スキャン共焦点顕微鏡を用いて、単一細胞レベルで細胞を生きたまま長期間に亘り反復画像化可能であることが確かめられた。移植した幹細胞が虚血および虚血周辺領域へと移動(migration)、分裂(differentiation)、分化(prohferation)することが明瞭に示された。一方、神経堤細胞をGFPで標識するPO-Cre/Floxed-EGFPマウスの骨髄より、フローサイトメトリーを用いてGFP陽性の神経堤由来細胞を回収し、得られた神経堤由来細胞を同様に脳梗塞モデルマウスに脳表より1mmの深さに移植した場合には、共焦点顕微鏡により頭窓を通して移植細胞のその後の動態を観察しても、必ずしも個々の細胞レベルまでは移動、分裂、分化の動態が明瞭には観察されないケースもあった。採取され得る移植細胞の数が極端に少ない点が今後の課題として浮かび上がった。また、共焦点顕微鏡では、脳皮質より約100μmの深さまでの観察が可能であるが、より脳深部における細胞の挙動を観察する実験系を今後確立し、さらに詳細に比較検討していく必要性が示唆された。血栓溶解療法を除くと脳梗塞に対する完全に有効な治療法はいまだ存在せず、さらなる基礎研究の進歩が期待され、近年、再生医療として脳虚血後の骨髄幹細胞移植による治療効果が注目されている。移植する幹細胞の種類(分化・未分化)、数、移植の時期、投与方法などさまざまな課題が残されているが、今回マウス脳梗塞モデルにて、細胞移植後、生きたまま個々の細胞レベルまで長期間反復観察できる実験系を完全に確立したことは、今後の研究発展に大きく寄与していくことと考えている。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (10件)
Cephalalgia
巻: (in press)
Microcirculation
巻: 19(2) ページ: 166-174
Neuroscience
Brain Research
巻: 1372 ページ: 59-69
Microvascular Research
巻: 81 ページ: 97-102
NeuroImage
巻: 56(3) ページ: 1001-1010
巻: 18(3) ページ: 221-227