研究課題/領域番号 |
21591126
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
戸辺 一之 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 教授 (30251242)
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研究分担者 |
藤坂 志帆 富山大学, 附属病院, 医員 (30512082)
金谷 由紀子 富山大学, 附属病院, 医員 (30511828)
篠田 晃一郎 富山大学, 附属病院, 助教 (40377312)
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キーワード | インスリン抵抗性 / 脂肪組織 / 炎症 / マクロファージ |
研究概要 |
肥満に伴うインスリン抵抗性の発症には脂肪組織マクロファージ(Mφ)が深く関与する。これにはインスリン抵抗性増悪に関与するM1Mφと、抗炎症性サイトカインであるIL-10を高発現しインスリン感受性改善に関与するM2Mφが存在する。我々は、M1MφのマーカーであるCD11c、M2MφのマーカーであるCD206を用いてフローサイトメトリーで脂肪組織Mφを解析した。その結果CD11c(+)CD206(-)のM1Mφ分画とCD11c(-)CD206(+)のM2Mφ分画を明確に分離することに成功し、インスリン感受性の制御にはM1/M2Mφの数や比率、さらにM2MφにおけるIL-10発現レベルが重要であることを見出した。さらに、IL-10は脂肪組織へのさらなるM2Mφ誘導に関与している可能性があることを報告した(Diabetes. 58 : 2574-2582, 2009)。 一方、遺伝子発現検討の結果、M1Mφには細胞質代謝、M2Mφにはミトコンドリア代謝の遺伝子が高発現していることがわかった。M2Mφに高発現するIL-10も、マウス骨格筋において、ミトコンドリア代謝を促進する作用があることを見出した。これらのことから、M2Mφに発現するIL-10が、何らかの機序を介して骨格筋のエネルギー代謝を亢進させ、耐糖能改善に寄与している可能性が示唆される。 メタボリック症候群発症に深く関与する内臓脂肪M1/M2Mφによるインスリン感受性制御機構の一端を明らかにしたことは極めて意義深い。さらに、これまでに知られていないM2Mφの役割として、IL-10を介したエネルギー代謝制御メカニズムについて、現在詳細に検討を行っている。
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