FSP27は代表的なエネルギー貯蔵細胞である白色脂肪細胞に豊富に発現しており、細胞内に中性脂肪を単房性の巨大な脂肪滴として蓄えるのに重要な機能を担っている。今回の課題は脂肪細胞でFSP27が安定した大きなサイズの脂肪滴をつくり出すメカニズムを解明することであり、我々は交付申請書にも記載したように、FSP27の結合蛋白の同定を試みた。これまでの我々の検討によってFSP27は脂肪滴に局在する蛋白であり、FSP27のカルボキシ末端部はFSP27が脂肪滴に局在するために必須の部位であることが解明出来ていたため、COS細胞を用いて同細胞にFSP27の全長あるいはアミノ末端部を過剰発現させてこれに結合する蛋白を質量分析法を用いて解析を行った。その結果、最終的に6分子のFSP27結合蛋白候補を同定しえた。内訳はFSP27全長に結合する因子は4個でありアミノ末端部に結合する因子は2個であった。全長に結合する4個の因子は、細胞内膜輸送に、関わることが解明されている分子、ヒストンのメチル化に関わる分子、RNAのプロセッシングに関与する分子および未だ機能が全く不明な4因子であった。FSP27のアミノ末端部に結合する2因子はストレスファイバーの形成やラメリポディアに重要な分子とGEF活性を持ったヌクレオタイド交換因子であった。現在、我々はこれらの候補をFSP27とともにCOS細胞に過剰発現して、FSP27との実際の結合を確認しようとしている過程である。今後、結合が確認できた因子を最終候補として、脂肪滴の形成に果たす役割の解析を続けて行く予定である。
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