研究概要 |
本研究は、cPLA_2阻害によるPPARγ活性化を介した動脈硬化進展抑制効果を検討し、糖尿病性大血管合併症に対する新規治療法開発の可能性を見出すことを目的としている。 平成21年度は、cPLA_2制御によるPPARγ活性化機序を明らかにする目的で以下の結果を得た。 1. RAW264.7細胞へのcPLA_2阻害薬(AACOCF_3, cPLA_2i)の添加により、その濃度依存的にPPARγの活性化が認められた。また、cPLA_2siRNAによりcPLA_2発現を阻害させたRAW264.7細胞でも、同様にPPARγの活性化が認められた。 2. RAW264.7細胞へのAACOCF_3, cPLA_2i添加により長鎖脂肪酸(アラキドン酸等)の産生低下及び15d-PGJ_2の産生上昇を認めた。またcPLA_2siRNA導入RAW264.7細胞においても同様の結果が得られた。 3. RAW264.7細胞へのAACOCF_3, cPLA_2i添加によりcyclooxygenase-2(COX-2)の産生増加を認めた。また、AACOCF_3、cPLA_2i添加によるPPARγの活性化は、COX-2阻害薬(NS-398, meloxicam)の同時添加により抑制を受けた。さらに、COX-2 siRNAの遺伝子導入RAW264.7細胞でも同様にAACOCF_3, cPLA_2i添加によるPPARγ活性化の抑制効果を認めた。 以上の結果から、マクロファージにおいてcPLA_2の阻害がPPARγの活性化を誘導すること、その機序としてCOX-2の産生増加を介した15d-PGJ_2の産生上昇が関与することが示唆された。
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