研究課題
昨年度に引き続き、高脂肪食で飼育したATF6αノックアウトマウスの解析を、主にATF6αがインスリン抵抗性に果たす役割に焦点をあてて、行った。その結果、骨格筋において、ATF6αがPGC-1αの発現調節に重要な役割を担っている可能性を示唆する知見を得た。現在その詳細なメカニズムの検討を行っている。ATF6αノックアウトマウスの解析としては、前年度までの結果と上記の結果を加えて、論文として発表した。昨年度までの解析で明らかにした膵β細胞で小胞体ストレスで発現増加するZcchc12/Sizn1(Zincfinger CCHC domain containing protein 12/Smad interacting zinc fingerprotein)のストレスによる誘導機構を明らかにするため、転写調節領域をクローニングし、その中にATF4結合領域となりうる配列を見出した。Non-coding regionであるexonを含め上流領域をluciferase cDNAを結合させたplasmidを用いて検討を行うと、小胞体ストレスに応答するとともにArF4タンパク単独の発現でも発現増加が認められ、逆に小胞体ストレスに対する応答が、ATF4のドミナントネガティブタンパクの発現で抑制された。以上より、Zcchc12がATF4の下流で応答することが明らかとなった。Smad1やSmad4タンパクの発現は、小胞体ストレスにて変化しないことも見出したが、Zcchc12が小胞体ストレスに応答することで、Smmdのシグナル系がストレス応答の修飾にかかわる可能性が示唆された。また、酸化ストレスが小胞体ストレス応答のIRE1-XBP1経路を修飾するメカニズムを検討するために、IRE1のタンパクリン酸化能と、リボヌクレアーゼとしての働きのそれぞれの機能を欠損した変異IRE1タンパクを発現する細胞を作製し、検討中である。
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http://www.med.nihon-u.ac.jp/department/dmet/