研究課題
PCSK9は細胞内コレステロール濃度の低下によりSREB2を介し誘導され、何らかのメカニズムによりLDL受容体の細胞内分解を促進と考えられている。その機能亢進型変異は家族性高コレステロール血症の原因となる。われわれは、PCSK9 E32K変異による家族性高コレステロール血症(FH)ホモ接合体を2例経験した。一般に、LDL受容体遺伝子変異によるホモFHがスタチン製剤に反応しないのに対し、いずれの症例もスタチン製剤に対し良好に反応した。この2例に対し、安定同位体を用いた代謝研究を行い、同意が得られた1例に対しアトルバスタチン20mg内服後に同プロトコールによる代謝研究を行った。期待された通り、LDL異化率は正常者と比較し49%低下していたが、アトルバスタチンの投与によりほぼ正常化した(0.232→0.450:正常者0.455±0.114pools/day)。同様にVLDL異化率(4.431→5.890:同8.552)、IDL以下率(6.120→8.934:同8.847)も改善した。興味深いことに、PCSK9 E32K変異によるホモFHは、正常者に比しVLDL direct removalが亢進しているが、アトルバスタチンによる影響は認めなかった(47.6→50.0:同14.5%)。また、正常者に比しVLDL合成率が亢進していたが、同様にスタチン投与による改善は認めなかった(28.610→27.936:同12.667mg/kg/day)。同様にIDL合成率(17.566→16.457:同10.338)、LDL合成率(12.920→15.385:同13.905)に著明な変化を認めなかった。以上、PCSK9 E32Kホモ接合体の代謝異常のうち、アポB含有リポ蛋白の異化率の低下のみスタチンにより改善した。
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