研究課題
我々は、マウス系統間の果糖摂取による脂肪合成促進作用の差異から、脂質合成の鍵となるSREBP-1c遺伝子プロモーター領域に果糖応答配列を同定した。さらにその領域に結合する分子としてRBMX、LOC673353およびSAFB1の3分子を同定し、これら3分子が培養肝細胞においてSREBP-1c遺伝子を活性化することを見いだした。本年度では以下の2点について、検討を行った。1.アデノベクターを用いたRBMXの過剰発現モデルの検討。1)Cre-loxPシステムを用いたアデノベクターによるRBMX過剰発現モデルによりRBMXRT遺伝子をマウス肝臓において約10倍程度過剰に発現できる系を確立し得た。2)RBMX過剰発現によりマウス肝臓において著明な脂肪肝が誘導され、胆汁のうっ滞、炎症性遺伝子の発現誘導を認めた。これらの現象はCre発現ベクターのおよび対照ベクターでは生じなかった。3)しかしながら、RBMX過剰発現によるSREBP-1c遺伝子の発現誘導は生じなかった。したがって、in vivoではSREBP-1c遺伝子の発現誘導には内因性に発現しているRBMXの量で十分である可能性が示唆された。2.マウスRBMX遺伝子をin vivoでノックアウトするために、RBMX遺伝子に対するshRNAを肝臓で発現しうるアデノベクターを作成する。1)2種類のshRNAを発現しうるアデノベクターを作成し、培養肝細胞でのRBMX遺伝子発現の抑制を確認できた。
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