研究課題
リン脂質フォスファチジルコリン(PC)由来の酸化一次生成物であるPCOOHによって惹起されるヒト単球由来細胞(THP-1)の血管内皮細胞接着分子ICAM-1への接着[Asai et al. (2009) J Lipid Res]について、その作用メカニズムの解析を進めた。これまでの研究[科研費基盤研究(C)18591005]において、この接着誘導がアクチン重合阻害剤やHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)によって抑制されることを見出していたが、本年度の解析の結果、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ阻害剤によっても同様に抑制されることを見出した。したがって、ゲラニルゲラニル化によって修飾される低分子量Gタンパク質の機能(アクチン骨格形成)がPCOOHによる接着誘導に関与しているものと推定された。さらに解析を進めた結果、低分子量Gタンパク質のひとつであるRac1がPCOOHによって活性化されることを見出し、実際に低分子量Gタンパク質の阻害剤やRac1の選択的阻害剤によって、PCOOHによる接着誘導が抑制されることを確認した。これらの結果から、PCOOH→Rac1活性化→アクチン重合促進→LFA-1局在化→ICAM-1への結合強化、という一連の接着誘導メカニズムが明かとなった。また、動脈硬化巣形成各過程におけるマクロファージ(Mφ)の動態・機能を解析するための培養細胞モデル構築のため、THP-1細胞のMφ化、泡沫化の条件を検討した。
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