研究課題/領域番号 |
21591177
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岸田 堅 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (10437329)
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研究分担者 |
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (60243234)
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20332736)
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キーワード | 医療・福祉 / 循環器・高血圧 / 糖尿病 / メタボリックシンドローム |
研究概要 |
計画(1) 睡眠時無呼吸症候群(SAS)・心血管病(CVD)におけるアディポネクチン(APN)・内臓脂肪の関連性についての臨床研究 a) SAS者におけるCVD:現在目標の症例数に達していない状況であり、引き続き登録を随時行う。 b) CVDハイリスク者におけるSAS 急性冠症候群を有する対象は目標症例数の100例を満たし内臓脂肪面積およびアディポネクチンの測定は終了し、現在プラーク関連指標の測定を行っている。今後、統計学的手法を用いて検討する。 2型糖尿病入院患者40例において、SASの実態調査およびその特徴を検討した。軽症SASが8名、中等度SASが10名、重症SASが13名あり2型糖尿病入院患者の77.5%にSAS合併者を認めた。SAS合併群は、SAS非合併群に比して内臓脂肪が蓄積しており、夜間に血中アディポネクチン濃度が低下していた。またSASの重症度指標である無呼吸低呼吸指数(AHI)は内臓脂肪面積と正相関を示した(Metabolism 2009)。今後、経年変化を検討しSAS合併糖尿病の新たな治療戦略を明らかにする。 計画(2) 低酸素負荷による各臓器障害に対するアディポネクチン作用の基礎研究 睡眠時無呼吸症候群は、肺動脈壁肥厚によって肺高血圧および右心不全を来たすことが報告されているが、その分子基盤にアディポネクチンが関与するかどうか今回検討した。睡眠時無呼吸症候群の一つの病態である低酸素曝露によってマウス肺血管壁肥厚度が増大し右心重量が増加した。アディポネクチンノックアウトマウスでは、さらに低酸素曝露によって肥厚度が増大し右心重量が増加した。なお、肺血管の総数および血管径には特に変化はみられなかった。次に、アディポネクチンアデノウイルスを用いたアディポネクチン補充実験を行い、アディポネクチン補充によって、低酸素曝露によって肥厚した肺血管壁は軽減し、増大した右心重量は抑制された。免疫組織学的検討によって、アディポネクチンは低酸素曝露によって肥厚した肺血管壁の内腔側に染まった。以上の結果より、睡眠時無呼吸症候群における肺高血圧および右心不全に対するアディポネクチンを用いた新たな治療法の可能性を示す結果となった(BBRC 2009)。
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