1)リコンビナントタンパクの精製 COS細胞およびHEK293細胞にプラスミドを用いてZ5を過剰発現した培養上清を作成した。本培養上清をヒト血管平滑筋細胞(HASMC)に添加したところ、血管収縮に関連した因子の遺伝子発現が有意に上昇した。本培養上清からZ5蛋白を精製し、濃度を測定した。本培養上清を用いて血中濃度測定系の標準液とすることができた。 2)抗体作成 Z5の抗体作製を行い、ヒトZ5およびマウスZ5蛋白を認識するクローンを得た。本抗体を用いて血中にZ5が存在することを確認した。これらの抗体を用いてZ5の血中濃度測定系を作成した。健常人において、糖負荷、脂肪負荷を行うと、血中Z5濃度が変化することを見出した。これらの結果から、Z5は血中に存在する新たな内分泌因子であることが明らかになった。 3)トランスジェニックマウスの解析 SAPプロモータを用いて肝臓特異的にZ5を発現するトランスジェニックマウスを作成し、肝臓において高発現する個体を得た。高脂肪食を負荷したコントロールマウスとトランスジェニックマウスの大動脈、脂肪組織および肝臓を用いてアレイ解析を行い、発現遺伝子の網羅的解析をおこなった。大動脈において発現量が変化する遺伝子群を見出した。これらの遺伝子群は、HASMC細胞にZ5を添加することでも発現量が変化することから、Z5の標的遺伝子と考えられた。 以上のことからZ5は血管と脂肪組織から分泌され、代謝性の変化によって血中濃度がダイナミックに変化する新規内分泌因子であり、血管平滑筋の収縮を制御する可能性が示唆された。
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