研究課題
本年は、劇症1型糖尿病膵組織を用いて、CXC chemokine ligand 10 (CXCL10)およびCXCR3の発現を免疫組織化学的に検討した。対象は自己免疫性1型糖尿病患者5名、劇症1型糖尿病患者2名である。自己免疫性1型糖尿病患者において、膵島内CXCL10陽性細胞の84.2%がβ細胞であった。膵島内残存β細胞の10.7%にCXCL10の発現を認めた。α細胞、δ細胞、PP細胞ではCXCL10の発現は認めなかった。膵島浸潤T細胞の28.7%がCXCR3陽性であった。また、膵島内CXCR3陽性細胞の80.3%がT細胞であった。一方、劇症1型糖尿病2症例において、膵島内CXCL10陽性細胞の3.1-40.0%がβ細胞であり、膵島内残存β細胞の4.3-41.2%においてCXCL10の発現を認めた。また、α細胞、外分泌領域にもCXCL10の発現を認めた。膵島浸潤T細胞にはCXCR3の発現を認めなかったが、外分泌領域へ浸潤したT細胞にCXCR3の発現を認めた。CXCL10は、自己免疫性1型糖尿病患者膵においてβ細胞特異的に発現を認めた。劇症1型糖尿病患者膵においてはβ細胞のみならずα細胞、外分泌細胞にもCXCL10の発現を認めた。CXCR3については、自己免疫性1型糖尿病患者膵において膵島内CXCR3陽性細胞のほとんどがT細胞であった。劇症1型糖尿病患者膵では外分泌領域に浸潤したT細胞においてCXCR3の発現を認めた。以上のことから、1型糖尿病における細胞傷害にCXCL10-CXCR3が強く関与している可能性が考えられる。TLR、I型インターフェロン下流の抗ウイルス分子発現は、上記の剖検膵組織を用いて現在検討中で、近日中に成果を発表する予定である。
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