研究課題
本年は、劇症1型糖尿病膵組織を用いて、ウイルス感染関連分子Xの発現を免疫組織化学的に検討した。対象は劇症1型糖尿病患者と健常対照者で、いずれもホルマリン固定パラフィン包埋した膵組織を用いた。免疫染色はこの分子に特異的な抗体を用いた酵素抗体法(ABC法)によりその発現を検討し、インスリン、グルカゴンに対する抗体を用いた蛍光二重染色法により、その局在を詳細に検討した。その結果、酵素抗体法では、劇症1型糖尿病患者において、連続切片のグルカゴン陽性細胞の位置(膵島)に一致して、この分子の陽性細胞の存在が明らかになった。健常対照者ではこの分子の膵島領域、膵外分泌領域であ発現はともに認めなかった。次に、二重染色法を用いて検討した結果、劇症1型糖尿病患者膵においては、この分子の陽性細胞の一部はインスリン陽性細胞であることが明らかになった。また、グルカゴン陽性細胞と二重陽性を示す細胞は認めなかった。以上の結果から、劇症1型糖尿病において、膵β細胞へのウイルス感染の存在が裏付けられ、膵β細胞傷害に分子Xが関与していることが示唆された。次に、マウス膵β細胞株MIN6を用いて、この分子の発現をPT-PCR法により検討したが、一般的な条件下では発現を認めなかった。そこで、この分子をコードする遺伝子の膵β細胞株MIN6への導入を試み、その方法を確立した。これとは別に、劇症1型糖尿病患者膵においてTLR関連分子IRF-7,NF-kBの発現を検討した。しかし、有意な所見は得られなかった。この結果には、患者膵の保存状態、染色法などが影響していると考えられた。
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