研究課題
(研究目的)バセドウ病の合併症(眼症、心房細動、1型糖尿病など)や寛解や抗甲状腺剤の副作用などと関連する遺伝因子の解明(研究実績)1)バセドウ病眼症:(1)甲状腺と後眼窩組織との共通抗原として注目されているcalsequestrinやcollagen XIIIに対する自己抗体について検討した。いずれも複視をきたした重症例で検討したが、陽性率は低く、日本人では活動性や重症度のマーカーとしての有用性は低いと考えられる。(2)最近、欧米人にてバセドウ病の発症との関連が報告されたTSH受容体の遺伝子多型について解析したが、バセドウ病の発症や眼症との関連はみられなかった。2)1型糖尿病のマーカーであるGAD抗体が陽性のバセドウ病患者を対象に免疫応答に関連する種々の遺伝子多型について、検討した。GAD抗体陽性バセドウ病群では、IL-18-4675多型CCジェノタイプ/PTPN22-1123多型CCジェノタイプの頻度がGAD抗体陰性群(OR 4.6)や健常者群(OR 4.7)に比較して有意に高かった。3)PTUにて加療中のバセドウ病患者におけるANCA陽性率は12%であり、腎炎と間質性肺炎をきたした1例は腎不全、呼吸不全が進行し、診断後10年で死亡した。現在までに15例の症例が蓄積されており、今後遺伝因子の解析を行う予定である。4)心房細動をきたす遺伝因子の解析:KCNH2遺伝子変異(rs1805120)とangiotennsinogen遺伝子のM235T変異について現在解析をすすめている。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (10件) 図書 (2件)
ホルモンと臨床 57
ページ: 691-699
Current Therapy 27
ページ: 152-156