研究課題
(研究目的)バセドウ病の合併症(眼症、心房細動、1型糖尿病)や抗甲状腺剤の副作用や抗甲状腺剤治療による寛解と関連する遺伝因子を解明する。(研究実績)バセドウ病眼症に関して:眼症は脂肪組織の増大を伴う型と外眼筋の腫大を伴う型に分けられる。サブ解析の結果、TSH受容体遺伝子多型(rs179247)のAA genotype頻度は重症の眼症を有する群で高い傾向がみられた。また昨年報告したように、線維芽細胞から脂肪細胞への分化に関連するPPARγ遺伝子多型(Pro12Ala)も眼球突出と関連することをから、繊維芽細胞が脂肪細胞へと分化・増殖し、分化に伴いTSH受容体の後眼窩組織での発現増加が眼症の病態に強く関連していることが示唆された。今後は外眼筋腫大と関連する遺伝因子の解析もすすめていきたい。また新らたにTSH受容体抗体の測定法であるThyroid stimulating immunoglobulin bioassayが開発されたので、この抗体と眼症との関連性も今後検討予定である。心房細動に関して:検討したKCNH2遺伝子多型、angiotennsinogenn遺伝子多型との関連は認められなかった。1型糖尿病に関して:これまで報告したIL-18遺伝子多型とPTPN22遺伝子多型以外に有意な関連は認めなかった。抗甲状腺剤による寛解に関して:TSH受容体抗体持続陽性群と5年以内に陰性化した群での比較を行っているが、現在のところ以前報告したIFNγ遺伝子多型以外に関連を認めていない。ANCA関連血管炎に関して:プロピルチオウラシルで1年以上加療中のバセドウ病患者の12%にMPO-ANCAが出現し、その2割に腎炎や間質性肺炎が発症している。サイトカイン遺伝子を中心に解析を進めているが、まだ症例の集積が少なく、結論は出ていない。
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