研究課題
甲状腺細胞の機能に影響を与える因子を総合的に評価するために、FRTL-5細胞をTSH、インスリン、ウシ血清、抗甲状腺剤であるPTUやMMI、さらにサイログロブリン(Tg)などで刺激した後に細胞からRNAを調製し、cDNAに逆転写した後にラット全遺伝子を搭載したDNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現変動の解析を行った。その結果、PTUによってTSH非存在下においても甲状腺のヨード輸送体NISの発現が誘導されることがわかり、そのメカニズムに関して検討を行った。また、PTUによって誘導されるNISタンパクはTSHによって誘導されるタンパクに比べて未熟で細胞膜への局在も少ないことがわかった。また、TgによってTSHやInsulin/IGF-1非存在下において細胞増殖や細胞内シグナル伝達に関与する遺伝子発現が誘導されることがわかった。そこで、Tgによる細胞増殖誘導機構に関わる細胞内シグナル伝達系路に関して検討を行ったところ、MAPK/Erk経路が活性化することを明らかにした。さらに、TSHやTgによって変動するmiRNAに関して検討を行い、甲状腺におけるTSHの作用を介在するmiRNAとしてmiR-16とmiR-195を同定するとともに、Mapk8,Ccne1,Cdc6などの細胞増殖に関わる遺伝子が上記miRNAの標的となっていることを証明した。これらの研究成果は、甲状腺におけるこれまで知られていなかった新たな甲状腺機能調節因子であり、これらによる甲状腺機能調節機構の異常は種々の病態とも深く関連すると考えられることから、これらの分子機構を標的とする新たな治療法開発のための基盤となると期待される。
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