研究概要 |
我々は、悪性リンパ腫のmicroRNA発現異常について調べている。これまでに、NK/T細胞リンパ腫では造腫瘍性miRNA-21とmiR-155ががん抑制遺伝子PTENとSHIP1の遺伝子を抑制していることを報告した(Yamanaka et al., Blood 2009)。がん遺伝子miR-17-92の標的遺伝子の探索・機能解析B細胞リンパ腫におけるmiR-17-92の標的遺伝子はCDKN1A/p21であることを解明した(Inomata et al., Blood 2009)。 平成22年度は、NK細胞リンパ腫でがん抑制的miRNA-150が細胞株、臨床検体で発現低下していることを突き止めた。またmiR-150はがん遺伝子AKT2やDKC1を制御し、セネッセンスを誘導すること、アポトーシスを誘導する事で造腫瘍に関与していることを明らかにした。従ってmiR-150の発現低下は、がん細胞の不死化、アポトーシス抵抗性に関与すると考えられた。この研究結果はLeukemiaに報告した(Watanabe et al., Leukemia 2011 in press)。以上によりmicroRNA-150が、新規の治療分子そのものとして、臨床応用できるかもしれないため、現在NOGマウスに皮下注したNK/T細胞リンパ腫にたいして、系尾静脈経由でmiR-150を注射し、腫瘍の縮小効果をみる実験を計画している。
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