研究課題/領域番号 |
21591197
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
桐戸 敬太 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (90306150)
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研究分担者 |
小松 則夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (50186798)
迫江 公己 自治医科大学, 医学部, 研究員 (10398505)
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キーワード | 骨髄増殖性腫瘍 / 低酸素環境 / JAK2変異 / 造血幹細胞 |
研究概要 |
骨髄内の低酸素環境が骨髄増殖性腫瘍の病態にどのように影響するかを解明するために、細胞株および骨髄増殖性腫瘍症例の末梢血検体を用いた解析を進めた。 当該年度には以下の結果を得た。 1.骨髄内の低酸素ニッチとほぼ同程度の低酸素状態(1%酸素濃度)では、JAK2V617F変異陽性の白血病細胞株の増殖が抑制されることを前年度に明らかとしている。当該年度においては、JAK2V617F変異陽性の真性赤血球増加症症例の末梢血単核球を分離し、赤芽球コロニーアッセイを行ったところ、低酸素環境下ではコロニー形成数およびコロニー構成細胞数のいずれもが抑制されることが分かった。 2.低酸素環境下では、JAK2V617Fの自己リン酸化が抑制されることを明らかにしたが、さらにそのメカニズムについて解析を進めた。その結果、低酸素培養によりフォスファターゼの一つである、SHP-1の発現が低下することを見出した。SHP-2はサイトカイン刺激後のJAK2活性化に関わることが知られている事から、SHP-2の発現低下がJAK2V617Fの活性低下に関与することを予想した。さらに、SHP-2阻害剤あるいはshRNAを用いてSHP-2の発現を抑制した場合にJAK2V617F活性が低下するかについて調べた結果、いずれの場合においてもJAK2V617F活性が低下することが確認された。すなわち、JAK2V617Fの活性化にはSHP-2の存在が必要であり、低酸素環境下ではSHP-2の発現が低下するためにJAK2V617Fの自己リン酸化が抑制されると考えられた。 3.SHP-2阻害剤は、真性赤血球増加症症例由来の末梢血単核球おいてもJAK2V617Fの活性を抑制することを確認している。
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