研究課題
基盤研究(C)
急性骨髄性白血病(AML):患者の75%程度は一時的に寛解を得るが、高率に再発するため長期無病生存率は20-30%と低い。造血幹細胞の生存には血管周囲細胞、骨芽細胞を中心とした骨髄ニッチへの接着が必須であることが報告されている。白血病細胞は骨髄ニッチに接着することにより化学療法抵抗性を獲得していることが示唆されている。研究代表者らは平成19-20年度基盤研究Cにおいは血球特異的GTPase RhoH低発現はAMLの全生存率と無病生存率において独立した予後不良因子であることを明らかにした。RhoHがRacのインヒビターであること、Racは悪性腫瘍で活性化していることを考え合わせると, Rac活性が高いことが腫瘍残存に影響する可能性が示唆された。RhoHがRacを不活性化するメカニズムについては詳細不明であったが、今回我々はGST-RhoHをbaitとして、血小板細胞質画分を用いたアフィニティクロマトグラフィーを行い、LC/MS/MSを用いてRhoHエフェクターの同定を試みた。その結果RhoHの新規エフェクター候補の一つとしてT cell activated GAP(TAGAP)を同定した。TAGAPは活性型RhoHに特異的に結合し、細胞内のRacを不活性化した。RhoHはTAGAPのGAPドメインに結合する事が明らかになった。以上のことから白血病細胞の接着、生存のkey moleculeであるRacの上流制御機構が明らかになりつつある。
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