研究課題
慢性骨髄性白血病(CML)の完治には、CML幹細胞の根絶が必要と考えられる。しかしABLチロシンキナーゼ阻害剤(TKIs)はCML幹細胞に効果がないことが明らかにされ、ABL TKI単剤ではCMの完治が困難と予測される。CML幹細胞は、ニッチと呼ばれる部位に存在し休止期を保ち、各種抗がん剤の攻撃から自身を守っていると考えられている。正常造血幹細胞のニッチは、主に骨芽細胞(OB)が形成することが報告されている。しかし、CML幹細胞のニッチに関しては、未だほとんど不明である。CML幹細胞のニッチに対するOB、破骨細胞(OC)、骨組織などの骨関連細胞の関与を明らかにするため、我々はOB,OC,骨組織と白血病細胞の共培養系を樹立し、白血病細胞を静止期に維持するためにOCが重要であることを明らかとした。さらにこれら骨関連細胞で形成される白血病細胞ニッチを攻撃し白血病細胞を殲滅するために、OCを特異的に阻害するビスホスホネート製剤ゾレドロン酸の効果を検討した。そしてゾレドロン酸は、新規ABLチロシンキナーゼ阻害剤ニロチニブの効果を相乗的に増強することを明らかとした。また、ニロチニブなどの新規薬剤でも克服できない変異ABLに対して、オーロラ阻害剤AT9283が効果を示すことや、OCが多数存在する骨端部の低酸素環境下での白血病細胞の動態を報告した。さらにゾレドロン酸は、骨関連細胞の腫瘍化である骨肉腫細胞に対して効果を有し、また放射線療法に対する効果を増強することも明らかにした。
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http://www.intmed.med.saga-u.ac.jp/kenkyuugroup/group/blood-hp/index.html