研究課題/領域番号 |
21591202
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
江副 幸子 大阪大学, 医学部附属病院, 特任講師(常勤) (90379173)
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研究分担者 |
金蔵 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
織谷 健司 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70324762)
水木 満佐央 大阪大学, 医学部不足病院, 准教授 (80283761)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60346202)
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キーワード | 造血幹細胞 / Sirt1 / グルコース濃度 / Niche |
研究概要 |
Sirt1はエネルギー代謝を介してヒストン脱アセチル化酵素として機能するだけでなく、インスリンのシグナル伝達に関わるForkhead転写因子や癌抑制遺伝子p53を脱アセチル化し、その機能を直接制御(活性化または抑制)する。Sirt1が、造血幹細胞の運命決定における機能とその機構を明らかにするために以下の実験を行った。 1.Sirt1のKOマウス由来CD34-KSL細胞においてdaughter cell colony assayを行った。 Sirt1 KOマウス由来CD34(-)KSL細胞はWT細胞に比べて分裂までの時間が短く、また、KO細胞からのMix/Mixコロニーペアーの数はWT細胞より有意に少なかった。Mix/Mixコロニーペアーは自己複製を反映していると考えられる。以上の結果より、Sirt1は細胞周期を延長させることと、一回ごとの分裂における自己複製を促進することにより、造血幹細胞の未分化性の維持に貢献していると考えられた。 2.Sirt1のKOマウス由来CD34-KSL細胞のin vitroでの造血再構築能を評価する。 Sirt1 KO及びWTマウス由来CD34-KSL細胞をそれぞれ致死量放射線照射マウスに継代移植したところSirt1 KO細胞移植マウスでは早期にキメリズムの低下を認めた。このことからSirt1は造血幹細胞をより未分化な状態に維持していると考えられた。 また、造血幹細胞の細胞内のグルコース濃度を評価するために蛍光標識されたグルコースアナローグ2-NBDG(Invitrogen #N13195)をマウスに経口投与し、骨髄切片を蛍光顕微鏡で観察した。その結果、骨髄の骨組織に接する部分に存在するSca-1陽性細胞において2-NBDGの取り込みが減弱していた。Nicheにおける造血幹細胞においてグルコールの取り込みが減弱している事が示された。 以上より、骨髄Nicheにおける造血幹細胞は低グルコース状態にあり、Sirt1はそのエネルギー状態を利用して、造血幹細胞の未分化性の維持に関与していると考えられた。
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