血液細胞の分化増殖への関与が報告されている転写因子c-mybの細胞の運命決定に於ける量的な関与を明らかとするために内因性c-Mybタンパク質のモニター可能なES細胞の作成を試み、昨年度成功した。本年度は、そのターゲティングベクターを用いて、c-mybレポーターマウス作成を行った。ターゲティングベクターは、薬剤選択マーカーとしてneomycin cDNAを有しLoxPで挟んでおり、CRE recombinaseにより除くことはできる。しかし、遺伝子改変マウスは、neomycin cDNAを除く前の段階で、幾種類かの血液細胞にはEGFPの発現が観察された。 以下、EGFP発現が観察された細胞集団である。血液幹細胞の存在するc-kit^<high>。B細胞では、CD19^+B220^+CD43^-のpre-proB。T細胞では、Double-Negativeの集団。このような発現は、従来までにqRT-PCR等で高発現が報告された部位と一致する。しかし、EGFPの発現は、すべての血液細胞に見られている訳ではなく、Gr1^+Mac1^+の集団では発現が見られていない。このような点から、EGFPの発現は内因性のc-Myb発現をモニターしていると思われる。さらに、現在までにc-mybの発現が報告されていない分画もある。今後このような集団でのc-Mybの発現により細胞運命がどのように変化するかを検討する。現在、マウスのコロニーを増やしている段階で有り、詳細な検討は今後である。また、c-myb遺伝子の特徴を利用し、前年度に作成したc-mybレポーターES細胞を用い、血液幹細胞作成を目標とする研究に用いている。
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