研究課題/領域番号 |
21591214
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
奥田 司 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (30291587)
|
研究分担者 |
阪倉 長平 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (10285257)
|
キーワード | AML1 / RUNX / 白血病 / 造血制御 / 遺伝子改変マウス / 蛋白間相互作用 / 翻訳後修飾 / リン酸化 |
研究概要 |
AML1/Runx1遺伝子座の点突然変異を導入したヘテロマウスに対しレトロウイルスを感染させ、誘発された造血器腫瘍でのプロウイルス挿入部位から特定された候補遺伝子について、疾病発症上の意義について検討した。また、AML1の点突然変異体について、その転写活性化能をほぼ完全に失うものについては、細胞生物学的な作用も、そして個体のレベルにおいても機能を全廃することを確認した。検討したヒト白血病関連変異のもののほぼ全てが、同様の結果を示したことから、一連の解析の最終結果として公表すべく準備している。 一方、AML1の翻訳後修飾の生物学的影響を系統的に検討する目的で、上記とは異なった位置のアミノ酸残基の変異体を作製し、検討を進めた。リン酸化の標的としては、セリン残基にくわえ、チロシン残基についても検討を加えた。ここではリン酸化を受けない変異体としてフェニルアラニンへの置換体を各種作製してその生化学的評価を行った。また、メチル化の標的となるアルギニン残基についてはリシン残基への変異体を作製し、検討した。その結果1箇所のチロシン残基をフェニルアラニンへ置換するだけで転写活性化能を半減させる部位を特定し、また、アルギニン残基についてはその非メチル化変異によって転写活性化能が低下する部位を特定した。後者については、その生物活性をマウスES細胞の実験系で検討し、造血初期発生制御機能を保持していることを明らかにした。現在、マウス個体への遺伝子導入を試みており、これによって、その生物学的影響を解明出来るものと考えている。 加えて、yeast two-hybridスクリーニングを行って、AML1と相互作用する分子の系統的把握を試みた。 当該研究を通じて得られたこうした研究成果は、今後、造血発生制御や白血病発症のメカニズムを解明してゆくうえで大きく役立つものと考える。
|