造血器悪性腫瘍には急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)など様々な白血病類縁疾患が存在し、いずれも造血幹細胞あるいは近傍の幼弱前駆細胞のがん化により生じると考えられている。本研究において我々はBlast BankのAML検体の中から、核型や治療反応性などの臨床情報が整備された99例からなる「標準検体セット」を選び出し、これらに対して網羅的なゲノミクス解析を行い、新たながん遺伝子の同定を目指すと共に、真に治療反応性にリンクする遺伝子の同定を試みることを目的とした。当該年度は、AML標準検体セットのmiRNAクローニングを行い、さらにAML標準検体セット全体の遺伝子発現プロファイルとリシークエンシングデータ、研究期間内に完成したCGH解析データとmiRNAデータを統合した解析を行った。具体的には我々が開発した微量の臨床検体から高感度にmiRNAをクローニングするmRAP法を用いてAML99例標準検体セットの膨大なmiRNAプロファイリングデータベースを構築した。更に99症例AML患者検体の膨大な発現プロファイルデータベース、CNA〓LOHデータベース、リシークエンシングデータベース、miRNAプロファイルデータベースを統合し、臨床情報にリンクしたゲノム情報を選択し、それを使用した予後予測法を開発することを試みた。
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