研究概要 |
悪性リンパ腫において血清nm23-H1は、新規の優れた予後因子であることを報告してきた。mm23の機能解析を行なうことにより、分子標的治療の標的分子になる可能性が高い。nm23-H1が悪性リンパ腫の予後不良因子であることは証明されたが、悪性リンパ腫に対するnm23-H1の機能については不明な点が多い。そのため、今年度はnm23-H1に関連する遺伝子であるPRUNE, OCT-1, BOB-1などの発現を検討した。具体的には、白血病細胞株であるHL60, NB4, U937を用い分化誘導剤であるATRAおよびVitamin D3を添加することによりnm23-H1, nm23-H2, PRUNE, OCT-1, BOB-1の発現の変化を検討した。また、患者検体を用いて、悪性リンパ腫に対するnm23-H1, nm23-H2, PRUNE, OCT-1, BOB-1の発現の有無を検討した。今後、予後との関係を検討し、予後不良因子を見いだし、標的分子となりうるかどうかの検討を行う予定である。 また、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するrituximab併用Cyc10BEAP療法の臨床研究においてnm23-H1の免疫組織学的検討を行い、nm23-H1を高発現している症例は予後不良であることを見いだした。Rituximab時代以前にnm23-H1はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の予後不良因子であることを報告してきたが、rituximab時代でもnm23-H1は予後不良因子となった。
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