研究課題/領域番号 |
21591221
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
服部 豊 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (20189575)
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研究分担者 |
柳川 弘志 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40327672)
山田 健人 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (60230463)
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キーワード | 多発性骨髄腫 / サリドマイド / 破骨細胞 / 増殖因子 / 骨髄異形成症候群(MDS) |
研究概要 |
(1)サリドマイド結合分子の同定:サリドマイド自体の生物活性が低いことから、それ自体が強い抗腫瘍効果を有する新規誘導体を作成し、その結合分子を同定した。その結合分子について昨年度より各種癌細胞株を用いて、RNA干渉により遺伝子ノックダウンを行い、細胞形体やアポトーシス誘導について検討を継続している。HeLa細胞においては、細胞分裂時に核の多極化を来し最終的にはアポトーシスが誘導されることが確認された。骨髄腫細胞についても同様の変化が起きうるかについて検討が進行中である。さらに、この新規誘導体は、高齢者に多く難治性造血器腫瘍である骨髄異形成症候群(MDS)細胞に対してもlenalidomideよりも低い濃度で細胞増殖抑制とアポトーシス誘導を来たし、このような濃度では正常のマウス骨髄細胞によるコロニー形成能を阻害しない。以上の検討より、骨髄腫や(20)Sといった難治性造血器腫瘍の新しい治療標的分子が明らかとなり、さらにその分子標的化合物も開発することができた。 (2)FGFおよびその受容体の発現機能解析を進めた。興味深いことに、骨髄腫細胞では上皮特異的に発現するK-sam-II遺伝子の発現を認めた。そこで、骨髄腫細胞における上皮特異的遺伝子群の発現を検討し、それらの発現を確認した。このことは骨髄腫が固形癌の形質を獲得し、化学療法への抵抗性や固形癌の遠隔転移に相当する髄外病変の形成に関連することを示唆するものと推測された。 (3)昨年までに、新規サリドマイド誘導体による破骨細胞の分化・機能抑制を観察しているが、本年度はこれらの確認実験を行うと共に、破骨細胞の分化に関与する遺伝子発現についても検討を加えた。その結果。RANKL,M-CSF存在下で破骨細胞を分化させる際に、新規誘導体が存在すると分化のマスター遺伝子であるNFATc1遺伝子の発現が抑制され、分化マーカーである酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ染色性やアクチンリング形成も抑制されることを見出し、分子機構についても考察を加えることが出来た。
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