研究概要 |
我々自身が単離同定した染色体転座関連API2-MALT1融合遺伝子の機能を解析することにより、悪性リンパ腫の診断、治療への臨床応用を実現することを目的として、以下の2点を明らかにした。 1)下流シグナル伝達系の解析:NEMOのユビキチン化の解析 抗原受容体シグナルBCL10/MALT1の下流において、MALT1あるいはTRAF6によるNEMO(IKK複合体の調節サブユニット)のユビキチン化がNF-kB活性化に不可欠であることが相次いで報告された(Nature2003, Mol.Cell 2004)。また、NEMOのユビキチン化部位として、399番目のリジン残基が候補部位であることが同時に報告された。我々は、新たにリジン残基に変異をもつNEMO発現ベクターを総計15ヶ構築して検討した結果、NEMOのユビキチン化部位と考えられる新しい標的部位を同定した。 2)抗アポトーシス作用 API2-MALT1安定発現株を樹立し、API2-MALT1が抗アポトーシス作用を有することを実証した。この安定発現株を用いてcDNAマイクロアレイ法を実施し、下流標的候補遺伝子を同定することに成功した。また、遺伝子上流の各種欠失ならびにNF-kB部位に変異を導入したコンストラクトを用いたレポーターアッセイを行い、少なくとも4つのAPI2-MALT1の下流標的遺伝子を同定した。
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