先天性赤芽球癆(Diamond blackfan anemia (DBA))の原因遺伝子としてRPS19などのリボソームタンパク質が知られる。近年DBAでリボソームタンパク質遺伝子に変異が多数同定され、欧米では約半数で遺伝子変異が明らかにされるようになった。このことから、DBAの診断が、遺伝子変異解析によって原因遺伝子を同定することが確定診断の1つとなりつつある。しかしながら日本では既知遺伝子変異の同定率は約30%である。一つに、DBA遺伝子の片アレル欠失の患者が存在することが示唆された。片アレル欠失は遺伝子転座の解析やCGHアレイ解析などの解析方法による必要があり、操作性やコスト面において多検体を処理するには不向きであった。このためこれまでDBAで片アレル欠失のまとまった解析はされて来なかった。我々は、これまで解析方法が限られたため希少報告であったDBA遺伝子の片アレル欠失を迅速・簡便に検出する系を開発し、検出を試みた。その結果、遺伝子変異未知の31例中7例でDBAの原因遺伝子の片アレル欠失を検出した。このことから、DBA患者の確定診断のためにDBA原因遺伝子のゲノムコピー数の解析(片アレル欠失の検出)は有用な診断マーカーとなることが示された。(論文投稿準備中)我々が開発した片アレル欠失検出方法は、1回の定量PCRで多数の遺伝子についてのコピー数解析が出来る方法であることから、操作面の簡便・迅速性を達成しただけでなく、解析面においてもQ-PCRの結果を目視するだけで遺伝子欠失を検出できるため、解析のステップが非常に簡便となっている利点がある。
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