先天性赤芽球癆(Diamond blackfan anemia(DBA))は重症の先天性貧血の一つで、メカニズムが明らかでないために、ステロイド以外に有効な治療薬が見つかっていない。DBAの原因遺伝子としてRPSI9などのリボソームタンパク質が知られる。近年DBAの50%の患者でこれらの遺伝子変異が明らかになってきたことから、DBAの遺伝子変異の同定をDBAの診断のマーカーの1つとして利用することが可能になった。これまで希少報告であったDBA遺伝子の片アレル欠失を迅速・簡便に検出することができる検出法を新規に開発し、弘前大学DBAゲノムバンクを用い変異同定を試みた。その結果、遺伝子変異未知の31例中7例でDBAの原因遺伝子の片アレル欠失を検出した。片アレル欠失6検体の遺伝的素因を同様の方法で調べたところ、DBA患者両親には原因遺伝子の欠失は認められなかった。これらのことから、DBA患者の確定診断のためにDBA原因遺伝子のゲノムコピー数の解析(片アレル欠失の検出)は有用な診断マーカーとなることを明らかにし、平成24年3月にBlood誌に報告した。本検出方法は、1回の定量PCRで多数の遺伝子についてのコピー数解析が出来る方法であることから、操作面の簡便・迅速性を達成しただけでなく、解析面においてもQ-PCRの結果を目視するだけで遺伝子欠失を検出できるため、解析のステップが非常に簡便となっている利点がある。
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