研究概要 |
前年度からの試行を継続し、研究計画の中核をなすタンパク発現調節システムのさらなるcharacterizationを行った。結果として、さまざまにdegradation-domain(DD)とマーカー蛋白の位置関係およびヒンジ配列を変化させても、誘導因子Shield-1非添加条件において無視できないレベルの発現リークが不可避であることが明らかとなった。このことは本研究計画の完遂の前に大きな障害となるため、計画に変更を加えた。すなわち、backbone vectorとしてレンチウイルスベクターを使用することとし、Tet OFFシステムとの統合を図った。ドキシサイクリンの添加によって、転写レベルで目的分子の発現をONにするエレメントを全て含んだレンチウイルスベクター骨格が既に当研究室で構築されており(All-in-One LV)、まずこのベクター骨格のうち、(r)tTAエレメントをtTAと交換してAll-in-One LVのTet OFF versionへと改築した。このベクター骨格にDD-蛋白融合遺伝子をクローニングし、二つの誘導型システムを組み合わせることによって、発現リークの問題を解決できる目処がたった。現在、マーカーとしてEGFP蛍光蛋白を導入し、より一層の至適化を血球系細胞株(U937, D32, Ba/F3細胞)を用いて行っており、最適のコンストラクト構造が決定し次第、造血幹細胞への遺伝子導入を開始する予定としている。
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