研究課題
基盤研究(C)
臍帯血移植(CBT)は多くの利点から、我が国では骨髄移植とほぼ同数まで増加している。一方、CBTでは生着不全の頻度が高く、解決すべき課題となっている。それらを解決する目的で、2個の臍帯血を同時に移植するダブルユニット臍帯血移植(dCBT)が考案され、我が国では平成18年から臨床研究が開始された。しかし、dCBTの有効性に関しては相反する報告もあり、基礎研究も十分には行なわれていない。したがって、dCBTにおける生着動態の解明や、研究成果を踏まえたより有効なプロトコールの開発が強く望まれている。本研究開始時には、dCBT後の臨床検体を用いて解析を行なう予定であった。しかし、我が国におけるdCBTの臨床第II相試験は平成22年3月に登録が終了し、その後新たなdCBTは実施されなくなった。そこで、平成22年度後半から健常人血で人工キメリズム検体を作製し、キメリズム解析などを行なった。平成21年度、それまでのマルチカラー解析では多くの問題があることが明らかとなった。市販の抗HLA抗体の多くは染色性が悪く、白血球球ゲートには赤血球が多数混在するため、キメリズム解析が正確に測定できなかった。平成22年度、抗体と蛍光色素の組合せを工夫して、各蛍光色素間で蛍光の漏れ込みを最小限に抑えた11カラー解析に成功した。また、PE-Cy5標識抗CD235a抗体により赤血球を除き、解析の精度を向上した。また、新たに染色性の良好な抗HLA-B62抗体を作製した。平成23年度、健常人血を使用した混合リンパ球培養を11カラーFACSで解析し、分取した各白血球分画の遺伝子発現を解析するシステムを立ち上げた。本解析システムにより、dCBT後の末梢血においてT細胞における2つのドナー由来細胞とレシピエント由来細胞をソーティングし、遺伝子発現解析などが可能となる。その結果を単一臍帯血移植と比較することにより、生着促進因子やgraft versus leukemia反応の本態について、より詳細なデータが得られる可能性がある。
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J. Immunol. Method
巻: 343(1) ページ: 56-60
http://stemcell-u-tokyo.org/dm/