研究概要 |
平成22年度は、平成20年(2008年)一年間にアジア太平洋諸国で実施された造血細胞移植件数を調査した。対象国は前年度の14力国から、本年度は15カ国に増加した。本年度、新たに研究協力に加わったのは、フィリピンである。15カ国全体では2008年一年間で10,393件の造血細胞移植が行われており、過去の移植件数を総合すると95,417件であった。移植施設数は15カ国で559の移植チーム(内科・小児科を別々にカウント)があったが、このうち370は日本の移植チームである。フィリピンの移植件数はトータル27件で、2008年の移植は3件であり、増加の理由は参加国数の増加ではなく、アジア諸国全体での移植医療の発展にあると考えられた。個別の症例の移植データに関しては、日本をはじめとする6カ国はnational registryがあり、直接データ送付が可能、中国など4カ国では国の代表者がデータを取りまとめることになっていたが、本年度中に個別データを送付してきた国はなかった。日本よりもインフラが乏しい国が多いことから、データ項目数をより減らしたleast minimal dataset (LMD)フォームを作成し、次年度よりの個別データ収集にこぎ着けたいところである。以上より、データベースの構築にはアジア諸国各国の事情を考慮して遂行して行く必要があると考えられた。データの送付に関しても、郵送などでは輸送事情が不確かな国もあり、使用可能な国ではWebベースでのデータ収集も視野に入れて検討する予定である。
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