研究概要 |
平成23年度は、平成21年(2009年)一年間にアジア太平洋諸国で実施された造血細胞移植件数を調査した。対象国は前年度と同じ15力国であった。15力国全体では2009年一年間で11,078件の造血細胞移植が行われており、過去の移植件数を総合すると106,495件であった。それぞれの国での実施件数は、オーストラリア1327件、中国1417件、香港149件、インド562件、イラン366件、日本4425件、韓国1672件、マレーシア213件、ニュージーランド201件、パキスタン49件、フィリピン2件、シンガポール133件、台湾388件、タイ163件、ベトナム11件であった。移植施設数は15力国で581の移植チーム(内科・小児科を別々にカウント)があったが、このうち381施設は日本の移植チームであった。2008年の移植件数は10,393件であったことから、2009年も685件の移植数の増加があったことになり、アジア諸国での移植医療は現在も発展を続けていると考えられた。累積移植件数が10万件を超えたことも、特筆すべきことである。個別の移植データに関しては、データ項目数を減らしたleast minimum dataset (LMD)フォームを作成したことにより、日本以外の国からもデータが得られた。日本を含め5か国から、総計5,561症例のデータを収集し、アジアにおける造血細胞移植登録の元年となった。総移植例数に対する患者データの収集率は50.2%であり、今後はこの数字を上げて行く必要があると考えられた。本年度の患者データの登録は郵送による調査票の送付でなされたが、逆に郵便時事が不安定な国もあり可能な国ではWebベースでのデータ収集も考慮すべきと思われた。
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