研究課題/領域番号 |
21591242
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冨山 佳昭 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (80252667)
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研究分担者 |
織谷 健司 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (70324762)
柏木 浩和 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10432535)
白鹿 正通 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40397683)
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キーワード | GPVI / 自己抗体 / P2Y_<12> / α_<IIb>β_3 |
研究概要 |
血小板機能はポジティブおよびネガティブ機構により制御されている。コラーゲンからのポジティブ機構として、血小板GPVIを介した血小板活性化が知られているが、本年度の成果として後天性GPVI欠損症に関し新たな病型を見出した。本研究にて解析した症例(12歳女児)はITPの発症とともに止血困難な鼻出血および紫斑が出現。血小板凝集にては、コラーゲン凝集能が特異的に低下していた。患者血小板ではGPVIが特異的に欠損していたが、患者血漿中には抗GPVI抗体は検出されなかった。またGPVIやFcRγの翻訳領域に遺伝子異常を認めなかった。患者血小板のPAIgGが増加していたため、血小板結合抗体をエーテルにて解離し解析すると、抗α_<IIb>β_3抗体に加えて抗GPVI抗体が検出された。本例を無治療にて経過観察していると、血小板数の回復とともにGPVIの発現の回復が観察され、後天性GPVI欠損症であることが明らかとなったが、GPVIの回復と共に血小板結合GPVI抗体の減少が観察され、GPVI欠損に抗体の関与が示唆された。GPVIはconvulxinにて刺激するとネガティブフィードバック機構によりshedding機構により血小板表面から消失する。本症例血小板ではGPVIのsheddingは観察されず、GPVIのinternalizationが欠損の主因と考えられた。 ADP受容体P2Y_<12>のα_<IIb>β_3活性化維持機構、つまり非活性化抑制機構を解析するため、P2Y_<12>を恒常的に発現する巨核球細胞株CMK細胞(CMK-P2Y_<12>)を新たに樹立した。CMK-P2Y_<12>では、CMKとは異なりα_<IIb>β_3の活性化が維持され、P2Y_<12>がα_<IIb>β_3活性化の維持に必須であることが証明された。
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