研究課題
血小板機能はポジティブおよびネガティブ機構により制御されている。報告者は、これまでの研究成果として、ネガティブ機構に関してアディポネクチン、Semaphorin 3Aなどの蛋白を明らかにしてきた。本年度の成果として血小板凝集に必須であるGPIIb-IIIa活性化に関して、αアクチニンがその活性化をネガティブに制御していることを明らかにした。ヒト血小板をPAR1、PAR4-TRAPで刺激し、αIIbss3とαアクチニンの結合を共免疫沈降法で経時的に観察した。非活性化型αIIbss3とαアクチニンは共免沈された。PAR1-TRAPでαIIbss3を一過性に活性化させると、αアクチニンはαIIbss3から瞬時に離れ、刺激後20分で再結合した。PAR4-TRAPでαIIbss3を持続的に活性化させた時は、刺激後20分でも解離したままであった。このαアクチニンとαIIbss3の可逆的な結合には、αアクチニンのリン酸化が同調しており、SHP-1によって制御されていた。血小板無力症血小板では、αアクチニンのリン酸化様式は健常血小板と同じであり、P2Y12欠損血小板では、αアクチニンのリン酸化は健常血小板よりも早期に非活性化状態に回復した。さらにPAR1-TRAPにてαIIbss3を活性化しうる巨核球細胞株CMK細胞を用いた新規実験系を用いて、αアクチニンの強制発現およびshRNAを用いた発現抑制を行なった。その結果、αアクチニンの強制発現にてαIIbss3の活性化は抑制され、一方αアクチニンの発現抑制にてαIIbss3の活性化の亢進が誘導された。以上の結果より、インテグリン結合蛋白の1つであるαアクチニンnがインテグリンαIIbss3のinside-out signalに対し抑制的に作用することが明らかとなった。
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