研究課題
白血病細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が、正常細胞を避けて白血病細胞だけを選択的に攻撃する機能は、白血病細胞表面上に提示された「主要組織適合性抗原(HLA)とがん抗原の複合体」をCTLが特異的に識別できる機能に基づいている。この「標的認識」を担当するCTL上のT細胞受容体(TCR)をコードする遺伝子を、各々HLA-A*2402とA*0201拘束性に提示され、かつ白血病性幹細胞に過剰発現が見られる「がん抗原」WT1とAurora-A kinase 2種類を識別して傷害するCTLクローンから単離して、臨床応用可能な安全性レベル(GMPグレード)のレトロウイルスベクターに組み込み、正常なヒトのリンパ球に遺伝子導入することで、患者治療に利用可能な人工CTLの作成に成功した。さらに、目的のTCR遺伝子をT細胞に導入すると同時にT細胞が本来持っている内因性TCRを抑制するベクターを開発することで、目的の「がん抗原」特異的なTCR遺伝子導入効率を高めて、より抗腫瘍活性の高い人工CTLを得た。この機能強化されたCTLの有効性と安全性を、ヒト白血病細胞あるいはヒト臍帯血造血幹細胞を移植した免疫不全マウス(ヒト化NOGマウス)を用いた系で詳細に検討し、その結果を国内外の学会で発表し、現在論文投稿中である。加えて、がんワクチンを含めた抗腫瘍免疫療法前臨床試験の効率化を目指して、ヒトHLA遺伝子導入したヒト化NOGマウスの免疫応答性の向上を報告した。また、生体内イメージング技術を導入して、体内投与後の人工CTLの抗腫瘍効果の向上へ向けた技術開発をさらに進めて、その結果を報告し現在論文化を進めている。現在、臨床条件に即して、患者由来白血病性幹細胞を移植したNOGマウスに、同じ患者末梢血リンパ球から作成した人工CTLを輸注し、その骨髄内への移行性と白血病性幹細胞に対する傷害活性を検討している。
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