研究課題
本研究では、申請者が世界ではじめて開発した「試験管内で、少量のヒト皮下脂肪組織から大量に血小板を得られる細胞培養システム」により産生される血小板の詳細なcharacterizationを行い、本システムの基礎研究・臨床応用への有用性を検討する。具体的には、皮下脂肪組織から得る血小板、血小板産生の幹細胞として従来用いられている造血幹細胞から得る血小板、そして末梢血中の血小板のそれぞれに対してcharacterizationを詳細に行い、対象サンプルの相違を解析する。研究計画初年度の本年度は(a)ヒト皮下脂肪から分化誘導にて得た巨核球と血小板、(b)ヒト骨髄CD34陽性細胞から分化誘導により得た巨核球と血小板、(c)ヒト血小板を解析対象とした検討を主に行った。上記(a)-(c)を対象にマイクロアレイを用いた遺伝子発現の網羅的解析を行った。その結果、脂肪組織からの巨核球・血小板はヒト骨髄CD34陽性細胞からの巨核球・血小板が有する細胞特異的な因子を発現していた。他に電子顕微鏡による微細構造の観察、免疫電顕、ギムザ染色、フローサイトメトリー法によるDNA ploidyの検討、血小板特異的表面マーカーの検討、機能検討として固相fibrinogenにTRAP(トロンビン受容体の刺激剤)にて巨核球を反応させ免疫染色(CD41、ファロイジンに対する抗体を使用)を行った。機能検討として、血小板機能惹起剤で刺激した際のfibrinogenとの結合能を解析した。それらの結果、ヒト皮下脂肪から分化誘導にて得た血小板はヒト骨髄CD34陽性細胞から得た血小板と同様、細胞デブリスを含むがcharacterizationに大きな差異は認められなかった。末梢の血小板との比較では、細胞の大きさに差異が認められた(末梢血小板の方が小さい)。また来年度の予備検討として行った実験では、マウスの皮下脂肪組織よりin vitro分化誘導にて巨核球・血小板を得ることが出来た。以上、本研究は研究実地計画に沿い順調に進みデータを蓄積していると考えている。
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