本研究の目的は、申請者らが開発したマイナー組織適合性抗原形成に関わる一塩基多型(SNP)を迅速に同定するアルゴリズムのソフトウェアと、ウェブのインターフェースとをリンクする対話型コンピュータシステムの構築および、SNP同定に必要なHapMap LCLの拡充とアッセイ系の開発である。本年度は白人由来のCEU B-LCLパネルのアッセイ結果をプルダウンメニューで条件入力し送信することで、検索する細胞表現形と関連性の高い候補SNP、そのゲノム上の部位、カイ二乗値の一覧表を返信できるようなウェブ上のインターフェース"HapMap Scanner"を完成させた。動作確認および新規マイナー腫瘍適合性抗原を同定する目的で、昨年度はHLA-B7拘束性の細胞傷害性T細胞(CTL)クローンが認識するTMEM214遺伝子上のSNPによりコードされるアミノ酸配列部分にCTLクローンが認識する新規抗原エピトープ(YPRLKMLAF)を同定した。本年度は日本人に多いHLA-A*24:02に拘束されるCTL(clone SNG 19.2)を用いて抗原エピトープの同定を試みた。本クローンはインターフェロンγの産生が不良でCrを用いた細胞傷害性試験を行ったが、HLA-A*24:02を強制導入すると細胞表現形の鑑別が困難になるB-LCLが存在することが判明したため、アッセイ系の改良を行っている。また、HapMap B-LCLからのiPSを誘導については、iPS誘導遺伝子を搭載したレトロウイルスベクターの感染効率が高くないこと、B-LCL自体の自立増殖性の細胞集塊と胚様体が鑑別困難であることより、ベクターの変更とフィーダーの検討を行っている。なお、ウェブページはJPTおよびCHB LCLも解析可能とした段階で一般公開予定である。
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