研究課題
RIG-Iはウイルス感染に対する初期免疫応答に重要な役割を果たしているが、一方、RIG-Iの過剰な発現は炎症性疾患の病態にも関与していると考えられている。関節リウマチ患者由来の培養ヒトメサンギウム細胞を、炎症性サイトカインの一つであるTNF-αで処理すると、RIG-Iの発現が亢進し、RIG-Iは、下流のケモカインの一つである CCL5の発現を調節していること、また、RIG-Iの発現には新たに産生されるIFN-βが関与していることが明らかになった(Imaizumiら:Immunol Lett, 2009)。また、関節リウマチと同様に自己免疫疾患の一つである炎症性腸疾患についてのRIG-Iの意義についての基礎検討を行った。その結果、培養腸上皮細胞をIFN-γで処理するとRIG-Iの発現が亢進し、そのRIG-Iは下流のケモカインCXCL9、CXCL10、CXCL11の発現を制御していることが明らかになった(Kawaguchiら:Immunol Lett, 2009)。更に、encephalomyocarditis virus (EMCV)は、細胞に感染するとRIG-Iタンパク質を分解し、生体におけるRIG-Iによる防御システムを抑制する機能を持つことが明らかになった。以上より、RIG-Iは、ヒトの自己免疫性疾患の病態に関与している事と、ウイルスと宿主との相互関係に重要な分子であることが明らかにされた(Paponら:Virology, 2009)。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Immunol Lett 122
ページ: 83-93
Immunol Lett 123
ページ: 9-13
Virology 393
ページ: 311-318