研究課題/領域番号 |
21591259
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
今泉 忠淳 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (90232602)
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研究分担者 |
石黒 陽 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (10312498)
石橋 恭之 弘前大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (80292142)
吉田 秀見 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40201008)
松宮 朋穂 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (30344592)
佐藤 敬 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20125438)
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キーワード | RIG-I / MDA5 / IFN-β / DEC2 / poly IC / TLR3 / ISG20 / Th1 |
研究概要 |
Retinoic acid-inducible gene-I(RIG-I)は、細胞質に存在するRNA受容体の一つで、ウイルス感染に対するInnate Immune reactionsや、関節リウマチをはじめとした様々な慢性炎症性疾患の病態に関わっている。ウイルス感染を認識するパターン認識受容体には、RIG-Iの他に、melanoma differentiation associated gene5(MDA5)やToll様受容体3(TLR3)がある。細胞をのTLR3アゴニストであるpoly ICで処理すると内因性のIFN-βの発現を介してRIG-IやMDA5の発現が誘導される。そのRIG-Iの下流では、ケモカインの一つであるCCL5の発現が制御されている。 Basic helix-loop-helix転写因子であるDEC2の発現がpoly ICによって誘導され、そのDEC2がIFN-β/RIG-I/1CCL5 pathwayを抑制するというnegative feedback loopをつくっていることを明らかになった(Imaizumi Tら:Immunol Lett,2011)。また、TLR3やRIG-Iの下流で、IFN-stimulated gene20(ISG20)というRNA分解酵素が誘導され、抗ウイルス応答に関与していることが明らかになった(Imaizumi Tら:Nephron Exp Nephrol,2011)。また、RIG-IはtypeIII IFNの誘導にも関与していることが明らかになった(Okabayashi Tら:Virus Res,2011)。さらに、蛋白尿を伴った紫斑性腎炎において、Th1とTh2とのバランスがTh1優位になっていることが明らかとなった(Tsuruga Kら:Pediat Neohro1,2011)。以上より、RIG-IやTh1反応が自己免疫性疾患の病態に関与していることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度には、IFN-β/RIG-I-CCL5 pathwayを明らかにしていたが、今年度は、DEC2がこのpathwayを抑制し、negative feedback loop systemを形成していること、RIG-IやMDA5の下流でRNA分解酵素であるISG20が発現し、抗ウイルス応答の一部に関与していることが明らかとなり、前年度の知見をさらに発展させる結果が得られており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、来年度が最終年度と成るため、これまで得られている、プレリミナリーな結果をまとめ、また、そのことによって、研究全体を俯瞰して、まとめたい。さらに、それに基づいて、新たな仮説と実験計画を構築したいと考えている。
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