研究課題
シェーグレン症候群(SS)は原因不明の自己免疫疾患である。本研究では、その発症の分子機構を明らかにし、分子をターゲットとした新規治療戦略を開発する事を目的とする。具体的には、唾液腺特異的に発現し唾液分泌に重要な機能を有するムスカリン作働性アセチルコリン受容体3(M3R)に焦点をしぼり、1)SS患者におけるM3Rに対する免疫応答解析、2)抗M3R抗体の対応B細胞エピトープ解析、3)抗M3R抗体のB細胞エピトープと機能との関連解析、4)M3R免疫唾液腺炎モデルマウスの作成、5)M3RのT細胞エピトープおよびアナログペプチド(APL)の選定、6)4)で樹立したモデルマウスにおいてAPLを用いた唾液腺炎の抗原特異的な治療戦略の確立、などをめざした。結果として、1)M3R分子のN領域、細胞外第一、第二、第三ドメインに対する自己抗体がSSの約50%に検出された。2)M3R分子上の複数のB細胞エピトープが存在すること、一症例において1個~4個のB細胞エピトープを認識する抗M3R抗体が存在することを明らかにした。3)細胞外第二ドメインに対する抗M3R抗体はCa influxを抑制した。一方、N領域や細胞外第一ドメインに対する抗体はCa influxを促進することが判明した。4)M3Rペプチドを免疫したM3R-/-マウスの脾細胞をRag1-/-マウスに細胞移入することにより自己免疫性唾液腺炎の発症を誘導することができた。唾液腺炎発症にはCD3+T細胞が必須であることも明らかにした。以上の研究成果から、平成22年度は、in vitroにおいてM3RのAPLの選定、さらにin vivoにおいてAPLを用いたM3R免疫唾液腺炎の抗原特異的制御戦略の確立を目指す。
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