関節リウマチ(RA)の重症度や治療反応性に関わる遺伝子多型の報告は数少ない。TNF阻害剤の反応性に関わる遺伝子多型の報告が数報みられるが、複数の施設で確認された多型はほとんどない。我々は最近1001例のRA患者の全ゲノムにわたる30万から61万個の一塩基多型(single nucleotide polymorphism : SNP)のタイピングを遂行した。このゲノムデータに臨床像を加味したサブ解析を行い、重症度に関わる遺伝子多型や治療反応性(特に生物学的製剤に対する反応性)に関わる遺伝子多型を検索することが本研究の目的である。 上記のような状況の中で、我々の独自性を出すために、日本で開発され世界に先駆けて日本で発売され効果をあげているtocilizumab(抗IL-6R抗体)に対する治療反応性に関連する遺伝子多型を検索することを主眼とし、tocilizumabを多数使用している数施設(大阪大学、産業医科大学、慶応大学など)に新たに研究協力者となっていただき、検体収集を始めている。今年度は検体収集と臨床情報の収集、整理に終始したが、来年度予定しているゲノムタイピング、関連解析の基礎固めを着実に進めている。 重症度に関わる遺伝子検索に関しては、現在我々の保有している最重症型RAと軽症型RAの症例のDNAを用いて、これまでにRAの発症に関わると報告された遺伝子多型および我々が新たに発見した(論文作成中)日本人でのRA発症に関連する遺伝子多型を総じてrisk alleleの頻度に差がないかを検討中である。
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