当施設において難治性自己免疫疾患23例(強皮症19例、皮膚筋炎3例、ウェゲナー肉芽腫症1例)に対し、自己造血幹細胞移植を施行し、有効性と安全性について確認してきた。これまで本療法の移植片としては、純化CD34陽性細胞または非純化造血幹細胞を用いてきたが、非純化造血幹細胞移植(非純化移植)では移植片に自己反応性T細胞と制御性T細胞が含まれているため、原疾患に対する有用性について純化CD34陽性細胞移植(純化移植)と比較することは有意義である。本年度は純化移植と非純化移植の強皮症に対する有効性と安全性について、比較検討した。対象は純化移植が11例(男3、女8)、非純化移植が8例(男1、女7)で平均年齢はそれぞれ52.3±7.5歳、55.5±5.5歳であった。純化移植群では輸注したCD34陽性細胞が4.7±2.6x10^6/kg、CD3陽性細胞が0.011±0.012x10^6/kgで非純化移植群では輸注したCD34陽性細胞が7.6±10.7x10^6/kg、CD3陽性細胞が45.6±28.1x10^6/kgであった。有害事象では純化移植群においてアデノウイルス膀胱炎や帯状庖疹、サイトメガロウイルス感染などのウイルス感染をより高頻度に合併していたが、いずれも抗ウイルス薬にてコントロール可能であった。有効性について、純化移植群では非純化移植群に比較し移植1、12か月後において、皮膚硬化の改善が有意に優れていた。免疫学的再構築の解析では、移植後のCD4陽性細胞の回復やTh1/Th2バランスの変化について両者間で差を認めなかった。以上、純化移植において原疾患に対する有効性が優れていることより、自己反応性リンパ球を除去する意義が確認された。
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