【平成23年度の研究目的】 プロテオミクスを用いて検出・同定された米国人大型血管炎愚者(高安動脈炎および巨細胞性動脈炎)における抗血管内皮細胞抗体(AECA)の対応抗原候補蛋白に対する自己抗体陽性率を評価する。さらに特異性が認められたAECA対応抗原に関しては、その臨床的意義について検討する。 【結果】 巨細胞性動脈炎の患者血清を用いた検討では、血管内皮細胞に特異的なAECAの対応抗原候補蛋白を9個、巨細胞性動脈炎患者に特異的なAECAの対応抗原候補蛋白を22個、血管内皮細胞および巨細胞性動脈炎患者の両者に特異的なAECAの対応抗原候補蛋白を6個同定した。まずこれらの同定された蛋白に対して、EBMおよび蛋白のデータベースを参考に優先順位をつけ、順次その組換え蛋白を作成し、それに対する自己抗体陽性率をELISAにて評価した。現在までに、約20個の同定された蛋白に関して評価したが、自己抗体陽性率は50%以下であった。今後、残りの同定された蛋白に関して検討するとともに、検査データ、身体所見および疾患活動性との関連の有無についても検討していく予定である。 【考察】 今回のELISAでは、米国健常人血清が約20検体と少なかったため、cutoff値の検討が不十分であったと考えられる。今後、米国健常人検体数を40検体前後に増やして再度検討する予定である。また米国人と本邦の大型血管炎患者では、AECAの対応抗原候補蛋白が大きく異なっていたことからも、同一疾患においても疾患活動性や臨床症状などの臨床像と同定された蛋白に対する自己抗体との関連の有無など、さらに詳細な検討が必要であると考えられた。
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