研究概要 |
(1)気管支喘息モデルにおけるプロスタグランジンI2(PGI2)レセプターの役割を解析する プロスタグランジンI2(PGI2)の気管支喘息への影響が近年注目されていることより、トロンボキサン合成酵素阻害を持つIPアゴニスト(ONO-1301:小野薬品より供与)を使って、急性喘息モデルで解析したところ、著明な気道過敏性の抑制、好酸球性気道炎症を抑制した。これは肺内の樹状細胞の機能抑制によるところが大きいと判明した(Hayashi M, Koya T et al.Clin.Exp.Allergy2009)。また慢性モデルにおいても肝細胞増殖因子(HGF)の肺内の発現が増強することにより、気道過敏性・気道リモデリングを押さえ、HGFの抗体の投与によりその効果が相殺されることを発見した(Yamabayashi C, Koya T et al.ARJMMB2012in press)。また気管支喘息の一般的アレルゲンでもある、ダニ抗原を用いた慢性点鼻モデルにおいてもこの薬剤は良好な効果があり、現行で使用されている抗喘息薬を凌駕するデータが得られている(Kimura Y et al.投稿準備中)さらにもともと経口で使用できる薬剤であり、経口治療モデルにおいても同様に良好な結果を得ている(Koya T et al.投稿準備中) (2)アスピリン喘息モデルを使用し、PGI2レセプターの役割を解析する。 気管支喘息モデルを作成したのち、抗原チャレンジによる気道炎症、気道過敏性(メサコリンに対する)が緩解したのちにスルピリンを投与することにより、アスピリンに対する過敏性を獲得するかどうか検討しているが、現在までの検討では、否定的である。
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