研究課題
経口免疫寛容導入における抗原投与のdose (high doseおよびlow dose)、タイミングの違いによる気道過敏性および気道炎症への効果の解析をおこない、経口免疫寛容の導入におけるTh17および制御性T細胞(Treg)の働きの解析をおこなった。既に申請者らのグループにより確立された喘息モデル(J Exp Med 1997:186:449-454)を用いた。OVAの感作後、OVAを吸入し、気道反応を評価した。経口免疫寛容の導入<1>low dose:OVA 1mgを隔日で5回、ゾンデを用いて胃内に投与。<2>high dose:OVA100mgを隔日で5回経口投与し、コントロール群には同量のBSAの投与。感作前の経口免疫寛容の導入:上記の抗原投与をOVAの腹腔内感作の前に行った。経口免疫寛容導入後にOVAの感作、吸入暴露を行い気道反応の評価を行った。感作中の経口免疫寛容の導入:第1回目のOVAの腹腔内感作の後に上記抗原投与を行い、その後、第2回目の感作を行い、OVA吸入暴露の後、気道反応の評価を行った。感作後の経口免疫寛容の導入:上記抗原投与を感作終了後に行い、OVA吸入暴露後に気道反応の評価を行った。感作、暴露後の経口免疫寛容の導入:抗原感作、吸入暴露の後に上記抗原投与を開始し、経口免疫寛容導入後にOVAの吸入、その後に気道反応の評価を行った。結果:感作前、感作中の経口免疫寛容の導入ではlow doseあるいはhigh doseの抗原投与ともに著明にアレルギー性気道炎症および気道過敏性の抑制が認められた。感作、暴露後の経口免疫寛容の導入ではlow doseの抗原投与ではアレルギー性気道反応の抑制効果は得られず、high doseでは抑制が認められた。気管支肺胞洗浄液中のTh2サイトカインの抑制効果もhigh doseの抗原投与により強くみられた。一方、制御性T細胞数はlow doseの抗原投与により増加を認めた。またIL・17産生CD4T細胞(Th17)数もlow doseの抗原投与により増加した。低用量の経口免疫寛容導入へのTregおよびTh17の関与が示唆された。以上より、経口免疫寛容導入により、アレルギー性気道反応の著明な抑制効果が得られ、導入が早期であるほど効果が強く、高用量ほど著明な抑制効果がえられることが明らかとなった。高用量の抗原経口投与により、感作後や発症後においてもアレルギー性気道反応の抑制効果が得られ、気管支喘息の新たな治療となる可能性が示唆された。
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