RAなどの自己免疫疾患の制御には、制御性T細胞(Treg)が重要な役割を演じているが、Foxp3の誘導メカニズムは十分解明されていない。また、ヒトでは、TCR刺激やTGF-betaによって誘導されるFoxp3の発現は、低レベルで一過的であり、この発現細胞は抑制機能を持たないことが明らかになった。ヒトFoxp3の発現を増強させ、安定させる物質があれば、ヒトにおいても抑制機能を持つ誘導型Treg(iTreg)が誘導できる。このため、本研究では、制御性T細胞の分化誘導を促進させる生理活性物質を網羅的に解析し、これらの物質のヒト制御性T細胞の分化誘導における役割と機序を解明することを目的とする。まず最初に、生理活性脂質や核内受容体リガンドなどのライブラリーから、Foxp3の発現が増強する物質をスクリーニングし、14種類得た。これらのうち、PPARalhaおよびgammaアゴニストのヒトTregの分化誘導機序について解析した。方法として、PPARalphaおよびgammaアゴニストを添加したiTregのFoxp3発現およびサイトカイン量、抑制試験、Foxp3プロモータ領域のメチル化などを検討した。その結果、nTregに対しては、PPARalphaおよびgammaアゴニストを添加しても、Foxp3の発現増強や抑制機能の増強は起こらなかった。一方PPARalphaおよびgammaアゴニストとTGF-betaで誘導したiTregは、Foxp3が高発現で維持され、抑制機能を持った。これはFoxp3プロモータ領域の脱メチル化の促進によることを見出した(論文作成中)。他の物質についても検討中である。
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