研究課題/領域番号 |
21591289
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 量基 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70434826)
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研究分担者 |
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70115947)
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キーワード | OX40リガンド / Dendritic cell / 制御性T細胞 / 自己免疫疾患 / TGF-β / IL-17 / Th17 / IFN-α |
研究概要 |
TNF-α、IL-6など炎症性サイトカインと肩を並べる存在として、炎症誘導分子であるOX40リガンドに本申請では着目し、この分子の持つ炎症応答誘導能を、ヒト細胞を用いたin vitroの実験系と、モデルマウスを用いたin vivoにおける系で検討した。また、近年自己免疫疾患では、IFN-αの関与が病態発症に重要視されている。上記にくわえ、本年度は、ヒト細胞(樹状細胞ならびにT細胞)を用いたin vitroの実験系によりIFN-αの産生能に対するOX40リガンドの影響を検証するとともに、2)モデルマウスを用いて、in vivoにおけるIFN-αとOX40リガンドの関係から炎症応答メカニズムの解明の検討も行った。 初年度に行っていた検討の続きとして、ヒトにおけるin vitroTh17誘導系をIL-1β+IL-6+IL-21+IL-23+TGF-βを用いたサイトカインコンビネーションで確立し、ヒトOX40 ligand遺伝子導入fibroblast細胞によりそのTh17細胞誘導能がどのように変化するか検討したところ、Th17産生系においてはOX40リガンドはネガティブレギュレーターとして機能することが判明した。しかし一方で、OX40リガンドはTGF-βによって誘導される制御性T細胞に対して、そのFOXP3発現や、CTLA4発現を有意に抑制する能力も有していた。この結果はTGF-βによるTh17とTreg細胞の分化における関連性を考慮すると非常に興味深い結果といえる。一方、IFN-α産生細胞であるヒト樹状細胞亜群に対して、ヒトOX40 ligand遺伝子導入fibroblast細胞と共培養したところ、いずれの亜群も受容体であるOX40は発現するもののそのIFN-α産生にはいずれの亜群においても影響し得なかった。 一方、NC/Nga mouse(アトピー性皮膚炎)、NZBおよびMRL/lpr mouse (SLE)のモデルマウスに対し、血清のsOX40リガンドならびにIFN-αを測定したところ、いずれにモデルマウスにおいても血清sOX40リガンドは上昇していたが、血清IFN-α産生とsOX40リガンドの間に有意な相関は認められなかった。これらのvitroならびにvivoにおける結果により炎症応答カスケードにおいてOX40リガンドは炎症機序に関与するもののとIFN-α産生には強い関連性はないものと考えられる。むしろ、OX40リガンドはTh17細胞や制御性T細胞との関与が強いと考えられた。
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