研究概要 |
地域性を考慮して選択した全国17施設からメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)を収集した。 定着菌を除外して感染菌のみ取扱うためケースカードで臨床背景を確認した。 観察期間中に発生したブドウ球菌感染症から分離された株で以下の(1)~(3)の項目のうち、(1)および(2)、または(1)および(3)を満たすものを収集の対象とする。なお、同一患者からの分離菌は同一株とみなし、1株のみを収集する。 (1)メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)であること (2)血液、腹水、胸水、髄液、関節穿刺液など、通常は無菌であるべき検体からの分離株。 (3)MRSAが原因菌である可能性が高く、定着菌である可能性が低いこと。 以上の基準を満たしたMRSA857株を対象にして、薬剤感受性および遺伝子解析を進めた。遺伝子解析の概略を下に示す。 1.MRSAを検出する遺伝子として、nuc(nuclease)、mecA(耐性遺伝子)を使用する。 2.SCCmec型については、3つのプライマーセットを設計し、組み合わせでタイプを判定する。 3.病原因子については、市中感染型MRSAに特徴となるPVL(Panton-Valentine Leucocidin)、etb(exfoliative toxin type b)に加え、院内感染型が保有するTSST-1(toxic shock syndrome toxin 1),sec(enterotoxin type c)を選択した。
|