研究概要 |
マイコプラズマおよび肺炎クラミジアの精製抽出菌体を使用したイムノクロマトグラフィー法を開発した。本法はIgM抗体を定性的に検出する方法で、5分以内に判定可能な迅速性を主目的とし、かつ実地医療で使用可能な簡便性を兼ね備えている。これまでの基礎検討で、高い特異性と再現性を確認し、さらにレトロスペクティブな検討で、経時的に採取されたマイコプラズマ肺炎と肺炎クラミジア肺炎症例の血清を使用しELISA法と比較したが、いずれの症例でも同様の抗体推移を示し、本検査法の有用性が示唆された。 現在、急性呼吸器感染症患者を対象に本検査法の多施設共同研究を行っており、中間解析では世界標準法と良好な相関関係(感度96%,特異度88%)を認めている。ただし、簡便な検査法であるため世界標準法と比較して偽陽性例が出現しており、今後は偽陽性例の検討も必要である。一方、サーマルサイクラーなど特別な機器を必要としない遺伝子アッセイ系-LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法の有用性に関する多施設共同研究も同時に行っており、従来から用いてきたreal-time polymerase chain reaction法との比較検討で良好な相関関係を認めている(感度97%,特異度98%)。さらに共同研究を続け、検査法の有用性を検討する予定である。 さらに臨床像から迅速かつ簡便に非定型肺炎を拾い上げる方法を考案した。大項目が4つと小項目が4つからなる鑑別表で、2011年4月から全肺炎症例を対象に本法の有用性の検討を開始した。結果を解析して、より良い鑑別表に改定していく予定である。
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