研究概要 |
本年度もT2,SCOT欠損症の酵素診断,遺伝子診断は研究の一環として世界各地から受け入れ,酵素診断,遺伝子診断を行った.その1つはベトナムの8症例におけるコモン変異の同定にもつながった(Mol Genet Metab 2010). ミスセンス変異の詳細な解析 1.T2欠損症のエクソン10内のサイレンス変異によるエクソンスキップの症例の解析では,エクソン10においてはSF2/ASFというexonic splicing enhancer配列が正常なスプライシングには必要で,その部位に変異が入ったためにスプライシング異常が生じていることを,患者変異を導入したmini-gene constructの作成するとともに,同じESE配列を減弱させる1塩基置換やauthentic splice部位を増強する1塩基置換を導入したmini-gene constructも作成し,transfectionによるスプライシング実験を行って明らかにし,論文はMol Genet Metabに受理された. 2.SCOT変異cDNAの発現実験を行い,同定された変異が病因となる変異であることを確認するとともに,一部は発現温度を30度,37度,40度で行うことで,温度感受性変異であることを明らかにした(現在投稿準備中) MLPA法の確立 遺伝子内のエクソン領域の欠失を検出するために,SCOT遺伝子のMLPA法について検討を行っている. SCOT遺伝子の肝臓特異的発現抑制機構の解明 1.SCOT遺伝子のプロモーター領域のCpG islandsがヒトでもマウスでも発現のみられない肝細胞においてもメチル化されていないことを明らかにした(Mol Med Reports 2010) 2.HepG2細胞(肝細胞特徴維持)においてSCOT遺伝子の転写がオンなのか,オフなのかについてChIP assayを用いて検討をしており,さらに解析をすすめている.
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